親を大切にしたい。でも、苦しい。
その両方の間に立ち止まれること自体が、
あなたの誠実さなのだと思います。
負けた側の物語が、ひっそりと祀られる場所
私が昔住んでいた土地にある神社が
最近YouTubeで紹介されているのを知りました。
その神社は、日本の歴史の中で
「敗者」とされてきた人物を
お祀りしているそうです。
その名は、ナガスネヒコ。
諸説ありますが、
宮司さんのお話によると
ナガスネヒコは
かつてその地域を守っていた人物で
イワレビコに敗れたあとも
周囲の人々に再び争いが起きないよう
自ら命を絶ったと伝えられています。
無念を抱えながらも
最後まで周囲を思いやった人物だった
と。

歴史書では
勝った側の物語が語られます。
負けた側は
名前だけが残るか
ときには「悪者」として描かれます。
けれど、その土地を守り
人々と共に生きてきた時間が
本当になかったと言えるのでしょうか。
動画を見ながら、私はふと
「語られなかった物語」
という言葉を思い浮かべました。
誰かの物語だけが「正史」になるとき
家族の中でも
よく似たことが起こります。
声の大きい人
つらさを訴え続けた人
周囲の共感を集めた人
そうした人の物語は
いつの間にか
「正しい話」として共有されていきます。
一方で
説明する力を持たなかった人
黙って耐えていた人
誤解されたまま役割を引き受けていた人
そうした人の物語は
語られないまま
なかったことのように
消えていくことがあります。

語られないから、理解されない。
理解されないから、
「問題のある人」
「冷たい人」
そんなレッテルを
貼られてしまうこともあります。
理解されなかった気持ちはどこへ行くのか?――心が「怖いもの」をつくるとき
ここでひとつ、先に
お伝えしておきたいことがあります。
これは、「原因はこれです」と
ひとつに決めつける話ではありません。
その人自身の体験と、
時代や文化の影響が重なり合って、
今の感覚が生まれている、
そんな見方です。
心理の世界では、
理解されなかった体験や感情は
そのまま消えることはないと考えます。
十分に理解されなかった
声を聴いてもらえなかった
一方的な物語だけが信じられた
そうした痛みは、
人の心にとって
とても重いものです。
人は、その重さを
そのままでは抱えきれません。
だから、ときに
それを自分の外に追い出します。
「怖いもの」
「触れてはいけないもの」
「問題のある存在」
そんな形にして。

日本で言うところの
「祟り」という言葉も
もしかすると
そうした心の働きを表した
ひとつの表現だったのかもしれません。
理解しきれなかった痛みを
外に置くことで
人はなんとか自分を守ってきた。
そして同時に
人はもうひとつの知恵も持っていました。
それが、
場所をつくることです。
神として祀り
敬意を払い
静かに想いを向ける。
それは
怖さから逃げるためではなく
理解しきれなかったものに
「居場所」を与える行為
だったのかもしれません。

親との関係に引き戻してみると――なぜ、親に優しくできなくなるのか
親との関係も
よく似ています。
親が抱えてきた感情や言動に
私たちは知らないうちに巻き込まれ、
背負わされていることがあります。
それをただ
「怖いもの」として遠ざけるだけでは、
心はなかなか落ち着きません。
けれど
自分の中で少しずつ理解し
距離を取りながら受け止められたとき
初めて
自分を守ることができます。
この神社の話を聞いて
私はそんなことを思いました。
人は昔から
語られなかった感情や
未完了の想いに
名前を与え
場所をつくり
静かに向き合ってきたのかもしれない、と。

心理セラピストの視点から――語られなかった感情が残る理由
心理療法の世界では、
「語られなかった体験」
「理解されなかった感情」は、
形を変えて残り続けることが知られています。
怒りとして
罪悪感として
身体の不調として
人間関係の繰り返しとして
それは、
その人が弱いからでも
間違っているからでもありません。
ただ
まだ見てもらっていないだけ。
理解されていないだけ。
未完了の感情は、
「わかってもらえた」と感じられたとき、
静かに落ち着いていきます。

親を大切にしたい、でも苦しいあなたへ
親を大切にしたい気持ちと
苦しさが同時に存在することは
決しておかしなことではありません。
それは
あなたの中で
誰かの物語だけが守られ、
誰かの物語が
置き去りにされてきた
サインかもしれません。
大切にする、とは、
すべてを肯定することでも、
自分を消すことでもありません。
語られなかったものに
尊厳と居場所を与えること。
それは
誰かを責めることではなく、
あなた自身を取り戻すことへと
つながります。
今日も読んでくれてThank you

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