アダルトチルドレンからの回復【第9話】会社を辞めた朝、ナーガが現れた

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乳がんになってから
私を支えてくれていたものがありました。

それは、仕事

私は、乳がんの検査に関わる商品の
研究開発に携わっていました。
研究から開発、そして製造まで。

小さなプロジェクトでしたが
10年以上の時間をかけて関わってきた
大切な仕事でした。

商品はたしかに世に出ました。

でも、現実は
思っていたものとは違いました。

工場からは「作りにくい」

営業からは「売れない」

そんな手厳しい反応だったんです。

研究しかしてこなかった私たちは
市場のことを 知らなすぎたんだと思います。

 

それでも
10年以上かけて作ってきたものが
静かに終わっていくのは
悔しいものがありました。

しかも
説明はきちんとされないまま
予算だけが少しずつ削られていく。

ある日気づけば
プロジェクトはもう
ほとんど姿を消していました。

あの頃の私は
会社の上の人たちを恨みました。
それくらい、私にとって
この仕事は大切なものだったんです。

このプロジェクトには
私にとって大切な上司がいました。
若い頃
仕事に夢中にさせてくれた人です。

途中で少し距離はできたけれど
今でも好きな方です。

その人がいたから
このプロジェクトは
ここまで大きくなれた。

でも、その上司は
ストレスで胃に穴を開けて
会社を辞めていきました。

その姿を見たとき
「ああ、終わったな」って
私は思ったんです。

仲間たちも
別の会社や別の部署へと
徐々に散っていきました。

最後に残ったのは、私でした。

 

その頃の私は
心理学やセラピーのトレーニングに
通い続けていました。

心のことを
もっと知りたかったのです。

でも、家に帰ると
また別の疲れが待っていました。

母の感情のケアです。

母は
私が心理学のセミナーに通うことを
あまり心良く思っていませんでした。

「また行くの?」

そんな空気だったんです。

一方で
夫の仕事も不安定になっていました。

彼は製薬会社で働いていましたが
会社が日本から撤退することになって
仕事を失いました。

その後も転職先の都合で
仕事を離れることになり・・

不思議な体験、そして目の病気もあって
ホメオパシーの勉強を始めたのです。
仕事に恵まれない彼が
必死で取り組んでいることを
私は応援しようと思いました。

でも、母は
納得できなかったんです。

「どうして男なのに働かないの」
そう言って
不満を私にぶつけました。

私は
母と夫の板挟みでした。

 

そんな中
昇格試験を受ける話が出ました。

小論文を書いたとき、言われたんです。
「学校の先生みたいですね」
「もっと会社の売上に貢献することを
書いてください」と。

私は、
部下を育てる視点で書いていました。
でも、それではダメだと言われたんです。

面接の練習中
私、突然泣き出してしまいました。
自分でも驚くほど
感情があふれてきたんです。

そしてそのまま
昇格試験を辞退しました。

 

実は、以前から感じていました。

会社員としての道は

どこか自分の本当の道では
ないんじゃないかーーと。

 

実験の仕事は大好きでした。

けれど
研究開発職として
これ以上続けるのは難しい。
昇格の道も
自分の行きたい方向ではない。

私は
技術職として働き続けたかった。
でも会社は
そういう人材を望んでいませんでした。

自分のアイデンティティだった
「理系の研究職」という道が
静かに閉じていくように感じました。

そして
長年、心を尽くしてきた商品が
販売終了になりました。

そのとき私は
静かに決めたのです。

ここで終わりにしよう。

研究から開発
そして製造まで
小さな規模だったけれど
全部やりきった。

そう思ったのです。

退職届を出そうとした
その朝のこと。
何気なくFacebookを開くと
大学時代の友人の投稿が目に入りました。

そこには
“ナーガ”の写真がありました。

ナーガ。

インド神話に出てくる、
蛇の神様です。

 

その瞬間
ある記憶が蘇りました。

5年ほど前に
アートセラピーで作った
コラージュのことを 思い出したんです。

私にはサインのように思えました。

そのコラージュには
物語をつけていました。

旅人がいて
誰かにこう言われます。

「時間になりました」

旅人は
扉をくぐります。

そして
南の島のような場所に たどり着く。

そこに
ナーガがいるのです。

ナーガは
くねくねと体を動かしながら
ウェルカムダンスを踊っていました。

まるで
「ようこそ」と歓迎するよう

Facebookの画面を見ながら
私は思いました。

ああ。
今がその時なんだ。

これからどう生きるのか?
正直、まったくわかりませんでした。

不安はありました。
でもそれ以上に
静かな疲労を感じていました。
これ以上、自分の魂に
嘘はつけませんでした。

私はその日
退職届を出しました。

次回は
「板挟みの家」
というテーマでお届けします。
母と夫の間で
私の心は大きく揺れていきます。

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